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この物語は、大学のユニバーサル化が進む米国を2010年に訪問調査した結果をまとめた記事である。 上級生を活用したチュータリングや学習支援センターによる支援などついての制度化が進んでいる現状を、2つの大学を訪問して調べた結果である。その背景には、大学授業改善以外の学習支援を行うための認定制度がある。その詳細について報告した学会発表を参考文献として紹介しておいた.併せて読んでいただきたい。
授業以外の学習支援としては、日本ではオフィスアワーは(その利用の実態はともかくとして、定期的に設けることは)定着した。図書館をラーニングコモンズとして改築し、学び合う場所としていくことも多く試みられるようになった。他方で、ピア・チュータリングや学習支援の質を担保する仕組みについてはどうだろうか。活発に行われているかどうかを量的に把握できていたとしても、その活動の品質はアセスメントできているだろうか。
ユニバーサル化が進む我が国の大学においても、授業だけをターゲットにしていては十分な学習支援ができない。授業以外の学習支援もFDのターゲットに入れて大学全体を「学習支援環境」として見直すべきだ。そう考えたとした場合、何ができそうだろうか。必読文献から得られた具体的なイメージは、周囲の大学の実践事例と似ているだろうか、違うだろうか。その裏づけにある制度についても、FDの一環として視野に入れる可能性について議論してみよう。
必読文献
- 鈴木克明(2011)「[寄稿]学びやすい環境を大学につくる:ラーニングコモンズとチューター承認制度<上>」教育学術新聞(教育学術オンライン)第2428号
- 鈴木克明(2011)「[寄稿]学びやすい環境を大学につくる:ラーニングコモンズとチューター承認制度<下> 」教育学術新聞(教育学術オンライン)第2429号
参考文献
- 鈴木克明・美馬のゆり・山内祐平(2011.3)大学授業の質改善以外の学習支援にどう取り組むか:学習センター関連資格制度についての米国調査報告.日本教育工学会研究論文集11-1:181-186
★★★ コラム ★★★
我が国における学習支援センターの動向
我が国においても学習支援センターやラーニングコモンズの設置やピアチュータリングが盛んに実施されています。コラムでは国内における動向をまとめていますので、お読みください。